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2024年09月

糖尿病の方の災害に対する備え~おくすり編(院長より)

2024.09.10

前回のブログは管理栄養士が災害時の食事や備えについて説明しました。大災害が起きた時、糖尿病の方がどうなるか考えてみましょう。1)

食事のこと以外にも・・・
「インスリンが手に入らない。血糖値が上がって具合が悪くなった・・・。」
→少なくとも3日間は自力で生き延びるため準備しておきましょう。(最初は被災地外からの人的・物的支援が少ないです。)災害に備えインスリンなど常用薬を確保しておきましょう。特に1型糖尿病などインスリン依存状態の方がインスリン注射を中断すると、たとえ1日であっても糖尿病性ケトアシドーシスを起こす危険があるので、インスリン注射が欠かせません2)。

 
「インスリンがないから欲しいといったら、どれだって聞かれた。インスリンってそんなに種類があるのか!!」
→インスリンやお薬にはさまざまな種類があります。災害時に自身の薬剤情報を確認できるようお薬手帳は常に携帯しましょう。携帯電話におくすり手帳や薬の情報が記載された紙の写真を撮っておくことも有用です。インスリンの名前は覚えにくいですが、普段から血糖値を記録する自己管理ノートにインスリンの種類や単位を記載すると良いです。


「知人、友人が亡くなったと聞いて、とても食欲がない。食べないけど、飲み薬は飲んだ方がいいかな?」
→糖尿病の方が食事をとれない時、経口血糖降下薬やインスリンをどうするかが問題になります。発熱や下痢、嘔吐などで体調を崩した時や、食欲不振のために食事ができない日のことをシックデイといいます。シックデイなどで食事量が低下した時、経口血糖降下薬やインスリンをどうするか平時のうちに主治医に確認しておきましょう。1型糖尿病などインスリン依存状態の方は食事量に関わらず、基礎インスリン(持効型)は必ず注射しましょう。

院長 野島秀樹

1) 一般社団法人 臨床糖尿病支援ネットワーク. 糖尿病災害時サバイバルマニュアル第2版p3.
2)日本糖尿病学会・日本糖尿病協会編・著.糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル2024. 文光堂, p48. 2024.