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2022年09月

患者中心の医療を推進するための「共有意思決定支援」(院長より)

2022.09.21

糖尿病の治療は、大別すると食事療法、運動療法、薬物療法があります。また最近、薬物療法として経口GLP-1受容体作動薬やイメグリミンなどが利用可能になり、糖尿病治療の選択肢が増えてきました。血糖コントロールが悪化した時、治療強化の方法が複数あり、糖尿病外来で治療方針を患者さんと話し合って決めています。

 近年、患者中心の医療を推進する医療やケアの意思決定の方法として共有意思決定(shared decision making; SDM1)が注目されています。SDMは共同意思決定と訳されることもあり、医療やケアに関して患者さんと医療者が共同して決定します。医療者は患者さんに医学的エビデンス、選択肢の利益やリスク、可能性のある結果を伝え、患者さんからは好みや価値観、大切にしていることを聞き、互いに共有します。共有意思決定は、医療者と患者さんが互いの知識や価値観を共有し、共同して本人にとっての医療やケアの最善策を話し合うことにより、最終的に最善策を患者さん自身が決定することを可能にします。

当院では患者中心の医療を推進するため、医師、看護師、管理栄養士、臨床検査技師、医療事務の多職種チームで共有意思決定支援を行っています。糖尿病専門医や糖尿病療養指導士は専門家の立場から、患者さんに対して診断、必要な教育や情報、エビデンスに基づく治療の選択肢を提供します。同時に患者さんは価値観や好み、人生の目標などを医療者に伝えます。そして共有したこれらの情報を基に医療者と患者さんが話し合うことにより、最終的に患者さん自身が最善の治療方針を決定することを支援しています。

1)英国NICEガイドラインの定義

院長 野島秀樹